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松瀬 学

『日本女子ラグビーの旗手たれ!』

 まっちゃん部長日記① 2023年4月9日


 やはりラグビーっていいな。ラグビー仲間って最高だな、そうつくづく思います。4月8日の土曜日。ピンクのサクラの花びらがつよい風に舞う中、横浜・健志台キャンパスのラグビー場では、濃紺ジャージの日体大や、桃色や黄色、青色などカラフルなジャージの“ラグビー・ガールズ”が躍動しました。強く、速く、美しく。


 「青天のへきれき」のラグビー部部長就任から1週間余。たくさんの引継ぎ作業に追われ、もう生息吐息、死にそうです。でも、ラグビー界への恩返しです。やると覚悟を決めた以上、いろいろと大変なこともあるけれど、ポジティブに楽しんでやるしかありません。


 この日の女子セブンズの合同練習会です。三重の「PEARLS(パ―ルズ)」や熊谷の「ARUKAS KUMAGAYA(アルカス熊谷)、横浜の「YOKOHAMA TKM」など強豪7チームが日体大のラグビー場に集結しました。


 午前11時から、対戦相手を変えながら練習試合が続きました。どうしても、日体大の応援になります。おっ、はやっ。誰だ、あの選手は。近くの男子部員に聞けば、2年生の畑田桜子さんでした。僕のラグビーの恩師がかつてラグビー部を指導していた福岡・筑紫高校の卒業です。


 試合観戦の傍ら、日体大ラグビー部女子の古賀千尋監督から日本代表スタッフや女子ラグビー関係者にご紹介していただきました。みなさん、いい方ばかりで。


 スタンドに上がれば、ラグビー仲間がたくさん、陣取っていました。早大4年時の監督をしていただいた日本代表のレジェンド、植山信幸さんからは笑って、こう声を掛けられました。「よっ、新米部長!」


 そばにはTKM新監督の春口廣さんも座っていました。日体大OBです。関東学院大ラグビー部を6度の大学日本一に導いた名将です。冗談口調で、「おれ、監督見習いだから」と謙遜されていました。周りの木々からは小鳥のさえずり、グラウンドからは女子選手の元気な掛け声が聞こえてきます。


 73歳の春口さんはしみじみと漏らしました。「みんな、キラキラ輝いているよね。俺からしたら子どもたちだよね。若い連中がさ、ラグビーを一生懸命やっている姿はやっぱり、いいよね。この活気、楽しいじゃないの」


 僕は、大学教員ながら、スポーツライターを長くしてきました。女子ラグビーも取材してきました。昔、ラグビーは「男のスポーツ」と言われていました。でも、女子ラガーはそんな偏見にもマケズ、チャレンジしてきました。苦難の時代を経て、いま上昇気流に乗っています。


 そのチャレンジを率先してきたは間違いなく、日体大のメンバーなのです。1988年、女子ラグビー連盟が設立され、同時に日体大のラグビー部女子も創部されました。厳しい環境下、女子ラグビーの選手も指導者もつくってきたのです。僕は練習試合を見ながら、そんな苦難の時代がまぶたに浮かび、つい涙腺が緩んだのです。


 女子ラグビーはいろんな方々にサポートされています。できれば、選手の方々もそれを知ってほしい、感謝してほしいのです。例えば、日体大女子のオフィシャルパートナーです。有名な工具専門店『ファクトリーギア』には、2016年からずっと、チームをサポートしてもらってきています。


 なぜ、日体大ラグビー部女子を応援してくれているのか。それを知りたくて、練習試合が終わると、雨の中、芝浦まで車を飛ばしました。ファクトリーギア社の髙野倉匡人(たかのくら・まさと)代表取締役社長に会うためです。


 いい人です。約束の時間に30分程遅れたのに、髙野倉社長は強い風雨の中、傘もささず、マンションの外にまで迎えに出てこられました。恐縮し、なぜ、日体大女子の応援を?とストレートに聞きました。


 高校時代、ラグビーの主将だった髙野倉社長は即答されました。

「ラグビーへの恩返しをやりたいと思ったんです。日体大には日本女子ラグビーの旗手でありつづけてほしいと思いますね」


 うれしい言葉です。日体大ラグビー部女子はしあわせなチームです。旗手であるならば、強さだけではなく、人間力も大事でしょう。みなさん、がんばりましょう。(松瀬学)

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