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まっちゃん部長日記


まっちゃん部長日記@熊谷ラグビー場<Yahoo!から転載>


古賀監督「やっとでチームになってくれた」

 これぞ大学王者のプライドだろう。『Women`s College Sevens 2025/第12回大学女子7人制ラグビー大会』。日本体育大学が最後に「チーム」となり、決勝で立正大に逆転勝ち、4年連続の優勝を遂げた。

 信は力なり、である。互いを信頼する。アタックでつなぎ、ディフェンスでは結束して前に出る。日体大の古賀千尋監督は安堵の表情を浮かべた。

 「最後、やっとでチームになってくれました。勝利を重ねるごとに、お互いの意思疎通がとれるようになっていった。“あ・うん”の呼吸が少しずつ、生まれていきました」

 ひと呼吸おく。言葉に実感をこめた。

 「“最後に勝つのは日体大というのを信じてやろうね”と、ずっと選手たちに言ってきました。チーム間の信頼が芽生えた大会でした。(決勝の立正大は)素晴らしかった。ええ、勝てて、よかったです」

 


 ◆決勝前のウォームアップ「やるか! やるか!」

 

 8日、猛暑の熊谷ラグビー場。大学のチームは当然ながら、毎年メンバーが入れ替わる。新しいシーズンが始まった。その初めての公式戦。近年の学生の大会らしく、スタンドには保護者が多く、目に付いた。

 今年の日体大のチームスローガンが『All Out やるか、やるか。』である。ふだんの練習で積み重ねてきたことに自信を持って、全てを出し切る。やり切るしかない。その覚悟はあるのか、そういった意味だろう。決勝戦前の屋内のウォーミングアップ場。円陣では大声を出し合った。「やるか! やるか!」

 主将の大黒柱、向來桜子は女子15人制日本代表の活動のため、大会は欠場した。この日は、ウォーター係としてサポートに回った。決勝前、向來はこう言った。「楽しみな選手ばかり。(決勝戦は)やってくれるでしょ」

 勝負の決勝戦。スタンドでは日体大のノンメンバーや保護者の応援団の群青色の小旗がばたばたはためいた。かけ声が熱風にのる。「ニッタイダイ! ニッタイダイ!」

 

 ◆古賀監督、ハーフタイム「丁寧にやろう」

 

 相手は立正大学。その闘志がすさまじく、気圧された日体大はハンドリングミスを重ねた。ミスしたボールをオープンにつながれ、先制トライを奪われた。

 すかさず反撃。2年生のエース、7人制日本代表の谷山三菜子、1年生の齋藤紗葉(すずは=神奈川・関東学院六浦高)がトライを重ねたが、前半終了間際に同点トライ(ゴール)を奪われた。14-14で折り返した。

 たった2分間のハーフタイム。古賀監督はディフェンスのシステムのポイントを指示し、こう言葉を足した。

 「丁寧にやろう」

 

 ◆ルーキー大内田が劇的トライ、そして3人の力の結束でターンオーバー

 

 だが、両チームとも、2日間で6試合目、体力はもう限界にきていた。疲れはハンドリングにも出る。勝負の後半が始まった。

 後半の4分過ぎ。中盤でターンオーバーを許し、トライを奪われた。14-19とリードされた。時間が刻々と過ぎていく。日体大が猛反撃に転じた。ラスト60秒。相手にイエローカードが出る。日体チャンス。

 中盤のペナルティキックから高橋夏未が左に切り返した。谷山がディフェンスの隙間をするどく突いて、左オープンの1年生の大内田葉月(福岡・修猷館高)にパス。アングルを少し変えてまっすぐ疾走し、中央に飛び込んだ。トライ! 見ていて、心が震えた。

 谷山のコンバージョンキックが決まり、21-19と逆転した。でもリードはわずか2点。残り30秒。立正大の反撃を浴びた。流れが相手に傾く。試合終了を告げるホーンは鳴ったが、相手の攻撃が続く。

 オープンに回されたところで齋藤が懸命のタックル。ボールがダウンボールされた瞬間、ポイントに大内田、高橋が殺到した。

 すぐに立ち上がった齋藤と大内田、高橋がポイントを乗り越えていく。タッチライン際に3人の力と意志が集中した。ターンオーバー(ボール奪取)に成功し、高橋がボールをタッチラインの外に蹴り出した。

 

 ◆選手の喜びも控えめ。谷山「まだ弱い」

 

 ノーサイド。スタンドのノンメンバーたちは歓喜に沸いた。「ニッタイダイ、ニッタイダイ」。でも、グラウンドの選手たちは喜びも控えめだった。大会MVPに選ばれた谷山は、「優勝はうれしいですけど、まだ弱いなというのは感じました」と言った。

 「決勝戦は失点ゼロで抑えようと話をしていたので、先制されて、ショックを受けたというか、少し気持ちが下がった部分があったんです。切り替えていけたのはよかったかなと思います」

 この大会の目標は日体大として圧倒的な強さを見せることだった。でも、苦戦した。

 「自分のミスが重なって…。自分の弱さが出てしまいました。最後まで頑張れたのは、ふだんの練習と、代表で学んできたことのお陰です。最後にチームになりましたが、まだ個々でやっている感じです。太陽生命(ウィメンズセブンズシリーズ/6月21日開幕)に向けて、2週間で課題を修正していきたいと思います」

 そういえば、谷山はロッカールームの掃除のあと、その道具を片付けていた。プレーだけでなく、人間的な成長も垣間見えたのだった。

 

 ◆ルーキー大内田「危なかったです」

 

 殊勲の大内田は、「危なかったです」と正直だった。

 「日体大に来て、ほんと、よかったです。ラグビー面では、成長できています。まだまだ、“これから”ですが。いろんなことを吸収できると思います」

 決勝では、大内田ほか、齋藤、杉本姫菜乃(ひなの=栃木・國學院栃木高)のスーパールーキーたちが光り輝いた。

 杉本は言った。

 「初めての公式戦で緊張したんですけど、先輩方に助けられて、伸び伸びプレーすることができました。まだまだなんで。太陽生命でも優勝できるよう頑張りたいです」


 

  ◆ゲーム主将の持田「学生ナンバーワンは負けてはいけない」

 

 この大会のゲーム主将を務めたのが、がんばり屋の持田音帆莉(ねおり)だった。ガラスの優勝トロフィーを持ち、顔をほころばせた。「力を出し切りましたか?」と聞けば、「う~ん」と答えに窮した。

 「やる気が空回りというワケじゃないですけど、自分たちがやりたいことをできずに終わってしまう試合が多くて。最後は僅差で勝たせてもらいましたけど、自分たちが納得できる内容にはならなかったですね」

 でも、大会4連覇。勝ち切った理由を聞けば、「プライド」と即答した。

 「私たちは学生ナンバーワンだから、絶対に負けちゃいけなかったんです。そこだけは絶対に譲れません。やっぱり、プライドがみんなの中にありました。それがたぶん、勝因だと思います」



 プライドの結晶が、最後のブレイクダウンでのターンオーバーだったのだろう。きつい時ほど、ふだんの練習の成果や日常の精進が出るものだ。

 スポーツの世界において、勝って反省は理想だろう。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは、屈強な社会人選手や外国人選手で編成されたシニアチームが相手となる。日体大ユニコーンズはまだ、成長途上。

 今度こそ、All Outである。「やるか、やるか」。そう、立ち上がりから、やるしかあるまい。(筆:松瀬学、写真:善場教喜さん)



 
 

まっちゃん部長日記@保土ヶ谷公園ラグビー場


 涙、涙のノーサイド、完全燃焼のラストゲームである。巳年が明けた5日、日本体育大学ラグビー部女子は、社会人クラブの強豪、東京山九フェニックスに敗れた。日体大にとっては本年度の最終戦。7-29の完敗も、学生らしい「ひたむき」なラグビーでみる者の心を揺さぶってくれた。



 ◆夕日に向かって最後の猛烈アタック

 

 15人制ラグビーの『OTOWAカップ 関東女子ラグビー大会』。横浜郊外の小高い丘の上にある保土ケ谷ラグビー場だった。最後の最後、日体大はひとつになって、薄いオレンジ色に染まった夕日に向かって攻め続けた。敵陣に攻め込み、ペナルティキックを相次いで奪う。すぐにアタック。ポストまじかにラックをつくり、左サイドにフォワードがボールを低く持ち出す。タックルを受けても倒れない。サポートと一緒に踏ん張る。

 もういっちょ左、そして右に。その都度、濃紺と水色のダンガラジャージの塊ができる。ぐぐっとゴールラインに向かって動く。あと1メートル。「いけぇ~、いけぇ~」。絶叫に近い声援がスタンドから飛ぶ。もういっちょ左、もういっちょ右。フィジカル優位の社会人も必死だ。もちろん、日体大も必死。意地と意地がぶつかる。

 引きちぎられたグレーのヘッドキャップが宙を舞う。数分間は続いただろう。突然、日体大は右オープンに一度振り、ラックから今度は左へ。名スタンドオフの4年生、大内田夏月が鋭利するどいランで左に切れ込み、ラックから少し離れた位置からナンバー8の向來桜子がポスト左に飛び込んだ。トラ~イ~。やった~!

 

 ◆向來が4年生に贈る惜別のトライ

 

 電光掲示板の数字は「45:35」だった。ラグビーは40分ハーフだから、ロスタイムが5分余りも続いたことになる。歓喜の爆発。向來がガッツポーズする。みんなが笑顔でハイタッチ。スタンドの日体ファンは泣いていた。

 「みんなで取ったトライです」と、向來は言った。「あれは、フォワードが我慢して、バックスも取りきろうとしながらもちゃんとキープしてがんばってくれました。ちーさん(古賀千尋監督)が練習で言っていた、ディフェンスが寄った後は外が空いているというアドバイスを思い出したのです。それも、みんなががんばってくれていたから、そんな考えがふっとよみがえったのかなと思います」

 いわば卒業する4年生に贈る惜別のトライか。頑張り屋の集まりの4年生にメッセージを、と聞けば、元気よく応えてくれた。

 「4年生には、もう卒業しても大丈夫です、といった感じのトライだったのかな。安心してもらうような。4年生、ありがとうございました」

 

 ◆選手も保護者の一緒に泣いた

 

 試合後のセレモニー。向來が試合の『モスト・インプレッシブ・プレーヤー』に選ばれた。マイクに向かって、こう声を張り上げた。

 「日体大はこの試合、ラストだったんですけど、一番楽しめた試合だったのかなと思います。これから、また新チームを作り上げていくんですけど、今日の試合で得たものを力をして、イチ、ニイ、サン年生でがんばっていきたいと思います」

 スタンドの保護者、ファンの拍手が寒風に乗る。

 持てる力を出し切った日体大の選手たちが、スタンドの前に整列している。主将のフランカー樋口真央は涙声で号令をかけた。

 「みなさん、ありがとうございました。礼!」



 樋口だけでなく、4年生のウイング、梅津悠月も涙を流していた。ふとスタンド席をみれば、樋口や梅津らのご両親も一緒に泣いていた。ああ親子の情はかくも深い。

 余談ながら、ラグビー場から最寄りの駅への帰り道、三重から駆け付けた樋口のご両親と偶然、一緒になった。

 毎試合のごとく、試合会場に来ていただき感謝です、大変でしょう、と言えば、樋口パパはこう、しみじみと漏らした。幸せそうに。

 「いえいえ。いろんなところに連れていただき、楽しい思いをさせてもらいました」

 

 ◆古賀監督「日体大のラグビーを追求しようという姿勢はあった」

 

 日体大はこれで関東大会では2勝4敗となり、上位2チームによる全国大会には進出はできなかった。ひと言で言えば、力負けである、フィジカルで圧倒された。東京山九はパワフルだった。例えば、55キロの4年生スクラムハーフ、山本彩花が、相手の交代プロップ、90キロの岸本彩華に低くタックルにいく。つい小林一茶の有名な俳句が口をついた。<やせ蛙 負けるな一茶 これにあり>

 しかも、相手チームには日本代表のFB松田凛日ら日体大卒業生もいる。そりゃ、強いに決まっている。でも、日体大は果敢に挑戦した。相手に挑みかかる気概は最後まで衰えなかった。古賀監督は、やさしい口調でこう漏らした。

 「最後まで自分たちが求める日体大のラグビーを追求しようという姿勢はありました。そこはうれしかったですね」

 試合テーマが『伝説のユニコ』。

 「まあ、日体大らしい連続攻撃といった感じでしょうか。ボールがどんどん動いて、見ている人がワクワクするような」

 例えば、前半の序盤の日体大の連続攻撃は感動的だった。順目にテンポよくつないで、大きく左右に揺さぶる。FW、バックス一体となった攻めは、20フェーズ(局面)は続いただろうか。最後は4年生ロックの西村澪が突進してインゴールになだれ込んだ。トライかと思いきや、相手にホールドされてノートライとなった。惜しかった。とっても惜しかった。

 試合後、西村は明るかった。涙はない。

 「最後、向來がトライをとってくれてよかったです。楽しかったです」

 再び、古賀監督の試合総括。

 「いいところもたくさんあった。タックルもがんばっていました。ただ、エッジのところで向こうにいいランナーがいたので、そこでちょっと崩されたかなという感じです。あとペナルティーが多かったかな」

 ペナルティーは相手8個に対し、日体大は11個を数えた。スクラム、ラインアウトはやられ、相手プレッシャーにハンドリングミスも出た。



 古賀監督がつづける。

 「とくにディフェンスの部分では苦労する部分が多かったんですけど、局面、局面で心揺さぶるようなタックルも見られました。点差は離れたけれど、いいプレーもたくさんあったと思います」

 

 ◆1年総括、古賀監督「出場辞退か、練習強度か」

 

 それでは、1年の総括は。

 そう聞けば、古賀監督は「なんだろう」と漏らし、少し考えた。

 「出場辞退をとるか、練習強度をとるか、その二択でした」

 厳しい1年だったのだろう。昨年のチームからレギュラー陣が半分卒業し、けが人も続出した。指導者としてはさぞ頭を痛めたことだろう。

 「練習強度をあげれば、すぐに怪我人がを出てしまう状態で、これ以上人数が減れば出場辞退を検討せざるを得ない状況だったので、そう練習強度を上げられない状況が続いていました」

 つまるところ、厳しい練習に耐えうるからだづくりが課題か。現実問題として、パワーでは圧倒的に社会人にはフィジカルで負けている。どう克服していくのだろうか。

 「からだづくり、食事、そういうところを含めて、グラウンド外での地道な努力を、日々、どこまで本気で積み重ねられるかどうかでしょう」

 

 ◆樋口主将「長いようで短いような…」

 

 それにしても、卒業する4年生はよく頑張ってくれた。

 160センチ、66キロの“小さな闘将”、樋口主将は最後もいっぱい泣いた。よほどタックルをしまくったのだろう、大腿部には擦り傷(昭和の時代、これをビフテキと称した。めちゃくちゃ痛い)をつくっていた。

 3年生までは怪我も多かったけれど、本年度は主将としてチームをリードした。どんな1年間?と聞けば、「う~ん」と漏らし、「聞かないでください。泣いちゃう。う…」。すみません。で、少し考え、こう言葉をつづけた。

 「1年間、結構苦しい思いのほうが多かったんですけど…。最後、みんなで80分間、戦えて、よかったです。とくに向來ががんばってくれました」

 大学4年間は?

 「長いようで短いような…。下級生の頃は長く感じたんですけど、3年生になったら、あとはあっという間でした」

 

 ◆卒業する4年生の青春のカケラは

 

 では卒業する4年生の青春のカケラ(言葉)を拾い集めた。

からだを張ったロックの村瀬加純はこう、言い切った。

 「一番、笑顔で楽しくできた試合でした」

 ウイング梅津もよく泣いた。もう目が真っ赤。どんな大学ラグビー生活でしたか?

 「ラグビー人生で一番、成長できました」

 フッカーの根塚智華も泣いた。ポカリスエットのペットボトルで涙をふきながら、こう漏らした。

 「最後のシーズンで勝ち切れなかったところは悔いが残るんですけど、このメンバーで最後の試合までやりきれたことがすごいよかったです。いい思い出をつくることができました。自分のこれからの力になります」

 センターの山田莉瑚は、シューズで西日を避けながら。

 「最後、日体らしいアタック、ディフェンスをすることができて、すごくうれしかったです」

 SOの大内田は笑顔だった。

 「この仲間たちと出会えて幸せでした。このメンバーだからこそ、ここまで頑張ってこれたと思います。最後、負けちゃったけれど、自分たちのラグビーをやりきることができてよかったです」


 

 ◆青春の宝物

 

 いろんなことがあった1年だった。

 それも時が経てば、かえり見る微笑に変わる。意気であり、感激となる。青春の宝物となる。それも素敵な仲間がいればこそ、だろう。

 4年生8人は全員、ラストゲームのレギュラーをつとめた。おつかれさま、そして、ありがとう。



 (筆:松瀬学)

 

 
 

まっちゃん部長日記@府中朝日FBP


 ああ寒さが身に沁みる。関東にも寒波襲来。冷たい風に枯れ葉が舞う中、日本体育大学ラグビー部女子は、流通経済大学の「RKUグレース」に敗れた。ああ…。

 ラスト2分でやっとワントライを返したけれど、5-17で試合終了と相成った。大学生同士の試合らしく、ともに「ひたむき」、ともに「必死」。両者の意地とプライドがぶつかる激闘だった。見ているおっちゃんの胸も熱くなる。



 勝ったグレースの喜びようといったらなかった。よほど、この試合に懸けていたのだろう。しかし、負けた日体大とて最後まで、相手に挑みかかる気概、集中力は切れていなかった。保護者や観客の支持はつかんだ。

 日体大の古賀千尋監督は、ロッカー室へ引き揚げるグレースの選手たちにこう、明るく、声を掛けた。

 「お疲れ様です。ナイスゲーム!」

 そして、こうつぶやいた。

 「よきライバルですね」

 

 ◆古賀監督「大きいですね。痛いです」

 

 12月8日の日曜日。サッカーや少年野球、ラグビーなど、たくさんのスポーツイベントが開催されていた府中朝日フットボールパークの一角、緑の天然芝がひろがるラグビー場。京王線の飛田給駅から徒歩20分。遠い。JリーグのFC東京のファンでごった返す道路を細かくステップ踏んで、ラグビー場にたどりついた。

 15人制ラグビーの『OTOWAカップ 関東女子ラグビー大会』の第4戦。日体大はこれで2敗(2勝)を数えることになった。「痛い敗戦ですか?」と聞けば、古賀監督は小声で応えた。

 「(この敗戦は)大きいですね。はい。痛いです」

 


 ライバルのグレースは、「イズム」(自分達らしさ)に徹してきた。

 強みがセットピース(スクラム、ラインアウト)とコリジョン(接点)勝負。対する日体大はやはり「チームワーク」でつなぎ、走り勝とうとした。フォワードは健闘した。前半終了間際にはスクラムで相手のコラプシング(故意に崩す行為)の反則を2つももぎ取った。加えて、みんなディフェンスでもからだを張った。

 風上の前半、日体大はタックル、タックル、またタックル。気迫のナンバー8、向來桜子、闘志の塊、フランカー樋口真央キャプテン、フランカー持田音帆莉、ロックの村瀬加純…。見ていて、胸が苦しくなる。



 でも、数少ないアタックチャンスでは、相手の鋭いプレッシャーに気圧され、ハンドリングミスを繰り返した。樋口主将は試合後、途切れがちに言葉を継いだ。

 「やってて、自分たちのミスばっかだったんで。勝てない内容でした」

 ハーフタイムは、0-0で折り返した。

 


◆活躍の向來「学生同士の意地のぶつかり合いだった」

 

 後半、グレースは自分たちの強みを前面に出してきた。

 PKをもらえば、タッチに蹴り出し、ラインアウトからドライビングモールで押し込んでいく。ブレイクダウンでは、束となって圧力をかけていく。ライン際のそれで、何本かのターンオーバー(攻守交替)を許した。

 実は苦しい日体大のチーム事情もある。けが人に加え、日本代表遠征もあって、試合の登録メンバーは規定の23人より4人少ない19人。グレースよりも2人少なかった。つまり、交代選手の層が薄かった。選手交代は、相手の5人に対し、1人だけだった。

 グレースにラインアウトからモールをつくられ、ブレイクダウンからのサイド攻撃を重ねられて、パワーで2本のトライを奪われた。

 日体大は後半38分、ようやく、日体大らしいオープン攻撃から左右に揺さぶり、スタンドオフの大内田夏月が左ライン際のWTB江尻栞那にロングパスをつなぎ、そのまま左隅にトライした。


 この日もからだを張り続けたナンバー8の向來は言った。言葉に悔しさがにじむ。

 「自分たちのアタックができないまま、相手を波に乗らせてしまいました。自分たちの強みのディフェンスをする前に、相手のコリジョンで持っていかれてしまって…。やっぱり、自分たちで修正できなかったところが、あれ(敗因)かなと思います」

 それにしても、向來のタックル、ジャッカルは凄まじかった。そう言えば、ナンバー8は、「本当ですか?」と少し笑った。いつも、めげない。

 「ええ、学生同士の意地のぶつかり合いでした。もうちょっと、走りたかったな」


 

◆MIP受賞の大内田夏月「課題を修正して、次はもっと頑張りたい」

 

 ライバルのグレースの存在はありがたい。

 学生同士として切磋琢磨してきた。15人制ラグビーでいえば、2021年では日体大が敗れ、2022年、2023年と日体大が連勝していた。

 今年の夏合宿の練習試合では互角だった。でも、10月の練習試合では日体大がぼろ負けした。古賀監督は、「夏合宿から、そこまで(10月の練習試合)の期間の過ごし方にチーム全体として甘さがあったと感じています」と話した。

 「こういうもの(チーム力)って積み重ねてナンボじゃないですか。日体大は、そこ(10月の練習試合)でやっとスイッチが入ったんですけど…。ちょっと遅かったですね。」

 そして、ひと呼吸ついた。

 「同じ大学生だけど、自分たちが見習わないといけないところがたくさんありました」



試合の『Most Impressive Player(MIP)』に選ばれたSOの大内田は悔しくて泣いていた。グラウンドでの受賞インタビューでは涙声だった。

 「課題を修正して、次の試合ではもっと頑張りたいです」


 

◆古賀監督「次は、ワクワクするようなラグビーを」

 

 課題はまず、規律の徹底とプレーの精度か。

 課題を克服し、日体大イズムを取り戻せるか。チームでつないで、つないで、ラインブレイクできるのか、である。

 この日の日体大のオープン攻撃からはトライのにおいがあまりしなかった。



次の試合は14日(上柚木)、相手がFWに日本代表選手が並ぶ横河武蔵野Artemi-Starsとなる。

 古賀監督は明るく言い放った。

 「自分たちらしいアタックで、見ていてワクワクするようなラグビーをたくさんしたい。選手たちもやっていて、楽しいなと思えるような」

 いいぞ、いいぞ。

 そうだ。日体大には、テンポのいいアタックで、相手に走り勝つラグビーが似合っている。今年のヒット曲、クリスピーナッツの『Bling-Bang-Bang-Born』のようなリズムで。


              (筆:松瀬学/撮影:善場教喜さん)

 

 
 

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