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まっちゃん部長日記

まっちゃん部長日記@明治記念館

 

 日本ラグビー協会は7月27日、女子ワールドカップ(W杯)イングランド大会(8月22日開幕)にのぞむ15人制日本代表メンバー32人を発表した。

 日本体育大学勢としては、学生がバックロー向來桜子、プロップ峰愛美、センター畑田桜子の3人、卒業生はプロップ小牧日菜多(東京山九フェニックス)、フッカー谷口琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ)、ロック櫻井綾乃(横河武蔵野アルテミ・スターズ)、バックロー細川恭子(三重パ―ルズ)、スタンドオフ山本実(YOKOHAMA・TKM)、センター小林花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ)、フルバック松田凛日(東京山九フェニックス)の7人のトータル10人も選ばれた。

 日本代表は8月2日にイタリアに向けて出発し、8月9日にイタリア代表と対戦する。その後、ラグビー発祥の地、イングランド へ移動し、女子W杯に臨む。1次リーグC組の日本(世界ランキング11位)は24日にアイルランド(同5位)、31日にニュージーランド(同3位)、9月7日にスペイン(同13位)と対戦する。

 

 日本代表は27日午後、東京港区の明治記念館で壮行会にのぞんだ。ラグビー協会関係者や、日体大女子の古賀千尋監督ら所属チーム関係者、選手の保護者らが参加した。

私も参加し、モールのごとき、参加者の群れのすき間をすり抜け、栄えある日体大関係者の決意をこっそり聞いて回った。以下の通り。

 

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【学生】

 ▽向來桜子

 「2度目のワールドカップなんですけど、1回目とは状況も環境も随分変わっているので、まずは自分らしく楽しみたいと思います。心強い(日体大生)2人と一緒に選ばれたのがうれしいです」

 ▽峰愛実

 「ワールドカップに選ばれてうれしく思っています。ここまで支えてくれた家族やチームメイト、たくさんの人に支えられて今まできたので、しっかり感謝の気持ちを持って、(W杯で)がんばってきたいと思います」

 ▽畑田桜子

 「ワールドカップのメンバーに選ばれたことをとてもうれしく思います。初めてのワールドカップなので、自分らしく、思い切りプレーしたいです」

 

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【卒業生】

 ▽小牧日菜多

 「一緒にやってきた仲間と一緒にサクラフィフティーンのラグビーを体現してきたい。がんばってきます」

 ▽山本実

 「ベスト8に進出するのはもちろんなんですけど、サクラフィフティーンのラグビーをラグビー発祥の地のイングランドで見せ、現地の人々を魅了したいと思います。ちーさん(古賀千尋監督)から教わった日体ラグビーも披露してきたい。日体生がグラウンドにたくさんいるとプレーしやすいと思います」

 ▽松田凛日(7月26日のスペイン戦で左足を負傷。壮行会は松葉づえ姿で出席)

 「足のけがを治して、できるかぎりの準備を尽くしてがんばります」


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まっちゃん部長日記@太陽生命女子セブンズ熊谷大会


 ◆古賀監督「選手はハダで感じることができた」

 

 酷暑、猛暑、炎暑。もう暑くて、暑くて。7人制女子ラグビーの年間王者を決める太陽生命ウイメンズセブンズシリーズの第1戦、熊谷大会が6月21日、22日、灼熱の埼玉・熊谷ラグビー場であった。選手にとっては、フライパンの上でプレーしているような暑さだっただろう。

 「暑かったですね」。6位スタートとなった日体大の古賀千尋監督はそう、声を絞り出した。空調の効いた部屋の冷たい壁に火照ったほおを付け、サバサバした口調で続けた。

 「大会を通じて、(シニアの強さを)ハダで感じることができました。どのくらいのプレーの質でやらないといけないのか、どのくらいのスピードでやらないといけないのか。学生がそれを体験できたことは収穫ですね」

 それにしても暑かった。暑過ぎた。古賀監督は「異常気象でしょうね、これ」と漏らした。この暑さの中、よく選手はがんばった。でかくて強いシニアチームにチャレンジし続けた。今年のチームスローガンが『All Out。やるか、やるか。』である。ふだんの練習で積み重ねてきたことに自信を持って、全てを出し切る。やり切るしかないとの意。

 「学生はオールアウトしましたか?」と聞けば、監督は明るく言い放った。

 「そりゃオールアウトはしていたでしょう。ふらふらになるまでやっていたので。十分していたと思いますよ、みんな」

 そして、言葉に自信を込めた。

 「次の北九州大会まで一ヶ月。そこまでに、すべての質を一段階、二段階、三段階レベルアップしていければいい。スピードアップもですね。質とスピードというところが今後のカギだと思います」

 

 ◆最後のグランドファイナル札幌大会で総合順位を決定

 

 このセブンズシリーズの開催時期とフォーマットは今年、大きく変わった。開催時期が第1戦は昨年より2カ月半遅くなり、最終第4戦がグランドファイナル札幌大会緯として8月17日に実施されることになった。結果、猛暑下の試合が多くなる。正直言って、選手ファーストではなかろう。

 フォーマットは、昨年の4大会の通算ポイントで総合順位を決める方式ではなく、ことしは最終第4戦をグランドファイナルとして、そこで総合順位決定トーナメントを行うことになった。第3戦までのポイントの合計数の上位8チームが札幌大会で総合順位決定トーナメントに進むことになる。つまり、上位8チームに食い込めば、札幌大会での優勝のチャンスは残ることになる。チーム力が急速にアップしていくだろう日体大にとっては有利な変更と言っていい。

 

 ◆37度。炎天下の5位決定戦。髙橋夢来が70㍍好走、谷山がトライ!

 

 ゲッ。陽射しが直撃する観客席でスマホの温度計を見れば、なんと「37度」となっていた。最終日の22日、日体大としては2日間で6試合目のファイナルマッチ、5位決定戦。すぐそばに陣取る日体大のノンメンバーや保護者たちの大声がグラウンドに降り注ぐ。

 「ニッタイダイ、ニッタイダイ、ニッタイダイ!」

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 遠く離れた左側の観客席からは、黄色いYOKOHAMA TKMのTシャツを着た応援団のメガホンをたたく音が聞こえてくる。

 「ティーケーエム! ティーケーエム」

 うだる暑さの中、午後2時44分、キックオフ。

 TKMの主軸のフィジー代表、アカニシ・ソコイワサが何度も爆走する。でも、“ねえさん”ことOGの日本代表、堤ほの花(ディックソリューションエンジニアリング)らがしつこいタックルで前進を阻む。教育実習から戻った高橋夏未、ゲームキャプテンの持田音帆莉(ねおり)、闘志の塊の髙橋夢来(ゆらら)、そして日本代表の谷山三菜子がボールをうまくつないで反撃する。互角の展開が続く。

 前半4分過ぎ。自陣でスクラムから連続攻撃をされ、タックルポイントの右サイドを日体大OGの人羅美帆に突かれて先制トライを許した。

 日体大がすぐに反撃。自陣からボールをつなぎ、髙橋夢来が70メートル近くを好走した。ナイスラン! ゴールライン手前でソコイワサにボールを奪取されたが、その外国人選手に持田がナイスタックル。こぼれたボールを髙橋夢来が好捕し、内側にフォローした谷山にパス、そのまま右中間に走り込んだ。ゴールは決まらず、5-7で折り返した。

 

◆ハーフタイム「最後に勝つのはニッタイダイ」との檄も

 

 たった2分間のハーフタイム。

 グラウンドの日体大の円陣の上にはスカイブルーのでっかい日傘が差された。直径2.6メートル。ことしの夏の暑さ対策として古賀監督が購入した「チーさんのビッグパラソル」だった。選手たちは冷たい水やタオルでリフレッシュ。古賀監督はこう、檄を飛ばした。

「最後に勝つのはニッタイダイだよ」


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◆日体らしいつなぎで1年生の藤原郁がトライ!

 

 後半、日体大はキックオフから攻めた。1分過ぎだった。マイボールのスクラムを押されながらも、SH役の高橋夏未がこぼれたボールをうまく拾い前に出た。谷山から髙橋夢来が鋭利するどいランでつないでいく。タックルを受けると、ボールを生かし、谷山から左にフォローした1年生の藤原郁(かおる=京都成章高)が左ライン際を脱兎のごとく走りきった。10-7と逆転した。

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 だが、直後、持田のタックルをパワフルな走りで引きちぎったソコイワサが大幅ゲインし、これまた日体大OGの堀川侑愛が逆転トライをマークした。悔しいけれど、日体大OGはあちらこちらでがんばっているのだ。

 10-14でノーサイド。後半途中に交代出場した水野小暖(こはる)は言った。

「チーさんの言葉を信じて、勝つしかないと思ってプレーしました。勝てなかったけれど、私たちはここからぐんと成長します、絶対に」

 

◆円熟の堤ほの花「全然やれている部分はあった」

 

 この日の太陽のように明るい堤ほの花はいつだって元気だ。19日に28歳になったばかりだった。「暑過ぎました」と素っ頓狂な声を出した。

 「しかも最終戦が一番暑いからしんどかったですね」

 小柄でも、やはり堤がいると、チームに安定感が加わる。チーム力が一段、アップする。経験だろう、言葉には自信があふれている。

 「パワーでも、全然、やれている部分はあったんで。修正すれば、全然勝てる相手が増えてくるんじゃないかと思います。まあ、差があるチームもありましたけど、まだ先もあるので、がんばっていけば、もっとやれると思います」

 それにしても、タックルがいいですね、と声を掛ければ、パッと笑顔になった。

 「ありがとうございま~す。ディフェンスは自分の得意分野ですから。アタックも上手になりま~す」

 なんと表現すればいいのか。自然と周囲の空気を明るくするのだった。

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◆準々決勝ではパ―ルズに一矢報いる。北海道バーバリアンズには快勝。

 

 一日目のプール戦は自衛隊体育学校PTS、横河武蔵野Artemi-Starsに連勝したが、3戦目の三重パールズに0-33で完敗した。

 2日目最終日では準々決勝でまたも三重パールズと対戦し、5-29で屈した。雪辱は成らなかったけれど、一矢(いっし)は報いた。PKからの速攻で谷山から堤、再び谷山とつなぎ、パスダミーで相手を振り切って、左中間に飛び込んだ。(パ―ルズが優勝)

 5-8位決定戦に回り、初戦の北海道バーバリアンズ・ディアナには42-17で快勝した。ふだんの練習で積み重ねてきた、日体大らしい走ってつなぐ「ランニングラグビー」が威力を発揮した。ひとり1人がギャップをついたり、ポジティブに仕掛けたりして、連携もとれていた。「いいぞ、日体大!」ときたもんだ。

 

◆谷山「悔しいです」

 

 すべての試合が終わった後のミックスゾーン。谷山は全国紙の記者のインタビューを受けた。ひたいから汗が流れ落ちる。エライもんだ。疲れながらも、ハキハキとした口調で応えていた。

 「自分でできたところと、できなかったところがはっきりしたと思います。ワイドに展開して得点につなぐことはできたので、そこは継続してやっていきたいなと思います。ディフェンスでも、アタックでも、コネクトの部分で反省点があったので、そこは修正していきたいなと思います。バーバリアンズ戦では自分たちのアタックができて、少し自信になりました」

 代表としての国際経験は力になっていますか?と聞かれると、谷山は「はい。そうですね」とうなずいた。流れる汗は止まらない。

 「でも、この大会でも外国人がいっぱいいて、試合のレベルはあまり変わらないと思っています。一戦一戦、自分のベストを尽くしていければいいと思います」

 インタビューがー終わる。どうだった?と声をかけると、少し顔をゆがめた。

 「悔しいです」

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◆教育実習明けの高橋夏未「体重が3キロは落ちました」

 

 高橋夏未はやはり、タフである。3週間の教育実習明けでも運動量の多さとランのキレがいぶし銀の光を放った。「暑かった~」と明るく言った。

 「体重が3キロは落ちました。教育実習で練習は3週間ぐらいしていないので、それを考えたら、割と動いていましたよね。個人的には(チーム戦術を)ちゃんと理解して試合に臨めるのかどうか不安でしたけど・・・。チームの流れが悪かった時、その流れを変える言葉だったり、行動だったりで見せることができなかった。この経験を踏まえて、次は絶対、後悔しないよう、勝ちにこだわってやっていきま~す」

 

◆1年生の齋藤「勉強になりました」

 

 とくに1年生にとっては、よき経験となっただろう。杉本姫菜乃(栃木・國學院栃木高)の負傷は痛かったけれど、齋藤紗葉(すずは=関東学院六浦高)、浦山亜子(大村工高)、藤原にとってはよき“洗礼”となっただろう。

 齋藤は初々しかった。目がキラキラだ。大会の感想を聞けば、コロコロと笑った。

 「はい。勉強になりました。はい。フィジカルの差を感じました」

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◆ゲーム主将の持田「次の大会ではぜんぶ勝ちます」

 

 冷たいアイスバスで生き返ったゲーム主将の持田もまた、開口一番、「暑かったですね」と笑顔で言った。 

 「2試合目(北海道バーバリアンズ戦)が一番、ニッタイらしい試合でした。FWが前に出て、アタックを仕掛けられたら、アグレッシブなニッタイらしいプレーができるんです。最後のTKM戦はできてないわけではないんですけど、ちょっとかみ合わないところがあって、(トライを)なかなか取り切れませんでした」

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 第2戦の北九州大会まで1カ月ほど期間が空く。

 「どの試合も決して勝てないことはなかったと思います。1カ月、徹底的に練習して、次の大会ではぜんぶ、勝ちます。絶対に」

 いいぞ、いいぞ。その意気である。

 最後に聞いた。「オールアウトはできましたか?」と。

 「オールアウトはしたけれど、持っている力を全部は出し切れなかったと思います。う~ん。まだまだ、いけたな」

 学生チームは伸び代が大きい。まだ成長過程。この経験を糧とし、己自身にチャレンジを続けることができれば、チーム力が飛躍することになる。ワクワクするじゃないの。

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(筆:松瀬学、写真:善場教喜さん)

 
 

まっちゃん部長日記@熊谷ラグビー場<Yahoo!から転載>


古賀監督「やっとでチームになってくれた」

 これぞ大学王者のプライドだろう。『Women`s College Sevens 2025/第12回大学女子7人制ラグビー大会』。日本体育大学が最後に「チーム」となり、決勝で立正大に逆転勝ち、4年連続の優勝を遂げた。

 信は力なり、である。互いを信頼する。アタックでつなぎ、ディフェンスでは結束して前に出る。日体大の古賀千尋監督は安堵の表情を浮かべた。

 「最後、やっとでチームになってくれました。勝利を重ねるごとに、お互いの意思疎通がとれるようになっていった。“あ・うん”の呼吸が少しずつ、生まれていきました」

 ひと呼吸おく。言葉に実感をこめた。

 「“最後に勝つのは日体大というのを信じてやろうね”と、ずっと選手たちに言ってきました。チーム間の信頼が芽生えた大会でした。(決勝の立正大は)素晴らしかった。ええ、勝てて、よかったです」

 

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 ◆決勝前のウォームアップ「やるか! やるか!」

 

 8日、猛暑の熊谷ラグビー場。大学のチームは当然ながら、毎年メンバーが入れ替わる。新しいシーズンが始まった。その初めての公式戦。近年の学生の大会らしく、スタンドには保護者が多く、目に付いた。

 今年の日体大のチームスローガンが『All Out やるか、やるか。』である。ふだんの練習で積み重ねてきたことに自信を持って、全てを出し切る。やり切るしかない。その覚悟はあるのか、そういった意味だろう。決勝戦前の屋内のウォーミングアップ場。円陣では大声を出し合った。「やるか! やるか!」

 主将の大黒柱、向來桜子は女子15人制日本代表の活動のため、大会は欠場した。この日は、ウォーター係としてサポートに回った。決勝前、向來はこう言った。「楽しみな選手ばかり。(決勝戦は)やってくれるでしょ」

 勝負の決勝戦。スタンドでは日体大のノンメンバーや保護者の応援団の群青色の小旗がばたばたはためいた。かけ声が熱風にのる。「ニッタイダイ! ニッタイダイ!」

 

 ◆古賀監督、ハーフタイム「丁寧にやろう」

 

 相手は立正大学。その闘志がすさまじく、気圧された日体大はハンドリングミスを重ねた。ミスしたボールをオープンにつながれ、先制トライを奪われた。

 すかさず反撃。2年生のエース、7人制日本代表の谷山三菜子、1年生の齋藤紗葉(すずは=神奈川・関東学院六浦高)がトライを重ねたが、前半終了間際に同点トライ(ゴール)を奪われた。14-14で折り返した。

 たった2分間のハーフタイム。古賀監督はディフェンスのシステムのポイントを指示し、こう言葉を足した。

 「丁寧にやろう」

 

 ◆ルーキー大内田が劇的トライ、そして3人の力の結束でターンオーバー

 

 だが、両チームとも、2日間で6試合目、体力はもう限界にきていた。疲れはハンドリングにも出る。勝負の後半が始まった。

 後半の4分過ぎ。中盤でターンオーバーを許し、トライを奪われた。14-19とリードされた。時間が刻々と過ぎていく。日体大が猛反撃に転じた。ラスト60秒。相手にイエローカードが出る。日体チャンス。

 中盤のペナルティキックから高橋夏未が左に切り返した。谷山がディフェンスの隙間をするどく突いて、左オープンの1年生の大内田葉月(福岡・修猷館高)にパス。アングルを少し変えてまっすぐ疾走し、中央に飛び込んだ。トライ! 見ていて、心が震えた。

 谷山のコンバージョンキックが決まり、21-19と逆転した。でもリードはわずか2点。残り30秒。立正大の反撃を浴びた。流れが相手に傾く。試合終了を告げるホーンは鳴ったが、相手の攻撃が続く。

 オープンに回されたところで齋藤が懸命のタックル。ボールがダウンボールされた瞬間、ポイントに大内田、高橋が殺到した。

 すぐに立ち上がった齋藤と大内田、高橋がポイントを乗り越えていく。タッチライン際に3人の力と意志が集中した。ターンオーバー(ボール奪取)に成功し、高橋がボールをタッチラインの外に蹴り出した。

 

 ◆選手の喜びも控えめ。谷山「まだ弱い」

 

 ノーサイド。スタンドのノンメンバーたちは歓喜に沸いた。「ニッタイダイ、ニッタイダイ」。でも、グラウンドの選手たちは喜びも控えめだった。大会MVPに選ばれた谷山は、「優勝はうれしいですけど、まだ弱いなというのは感じました」と言った。

 「決勝戦は失点ゼロで抑えようと話をしていたので、先制されて、ショックを受けたというか、少し気持ちが下がった部分があったんです。切り替えていけたのはよかったかなと思います」

 この大会の目標は日体大として圧倒的な強さを見せることだった。でも、苦戦した。

 「自分のミスが重なって…。自分の弱さが出てしまいました。最後まで頑張れたのは、ふだんの練習と、代表で学んできたことのお陰です。最後にチームになりましたが、まだ個々でやっている感じです。太陽生命(ウィメンズセブンズシリーズ/6月21日開幕)に向けて、2週間で課題を修正していきたいと思います」

 そういえば、谷山はロッカールームの掃除のあと、その道具を片付けていた。プレーだけでなく、人間的な成長も垣間見えたのだった。

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 ◆ルーキー大内田「危なかったです」

 

 殊勲の大内田は、「危なかったです」と正直だった。

 「日体大に来て、ほんと、よかったです。ラグビー面では、成長できています。まだまだ、“これから”ですが。いろんなことを吸収できると思います」

 決勝では、大内田ほか、齋藤、杉本姫菜乃(ひなの=栃木・國學院栃木高)のスーパールーキーたちが光り輝いた。

 杉本は言った。

 「初めての公式戦で緊張したんですけど、先輩方に助けられて、伸び伸びプレーすることができました。まだまだなんで。太陽生命でも優勝できるよう頑張りたいです」


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  ◆ゲーム主将の持田「学生ナンバーワンは負けてはいけない」

 

 この大会のゲーム主将を務めたのが、がんばり屋の持田音帆莉(ねおり)だった。ガラスの優勝トロフィーを持ち、顔をほころばせた。「力を出し切りましたか?」と聞けば、「う~ん」と答えに窮した。

 「やる気が空回りというワケじゃないですけど、自分たちがやりたいことをできずに終わってしまう試合が多くて。最後は僅差で勝たせてもらいましたけど、自分たちが納得できる内容にはならなかったですね」

 でも、大会4連覇。勝ち切った理由を聞けば、「プライド」と即答した。

 「私たちは学生ナンバーワンだから、絶対に負けちゃいけなかったんです。そこだけは絶対に譲れません。やっぱり、プライドがみんなの中にありました。それがたぶん、勝因だと思います」


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 プライドの結晶が、最後のブレイクダウンでのターンオーバーだったのだろう。きつい時ほど、ふだんの練習の成果や日常の精進が出るものだ。

 スポーツの世界において、勝って反省は理想だろう。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは、屈強な社会人選手や外国人選手で編成されたシニアチームが相手となる。日体大ユニコーンズはまだ、成長途上。

 今度こそ、All Outである。「やるか、やるか」。そう、立ち上がりから、やるしかあるまい。(筆:松瀬学、写真:善場教喜さん)


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