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まっちゃん部長日記


 ラグビー文化といえば、ダイバーシティーだろう。いわば多様性。多彩な個性から成る日本体育大学が、幾つかのクラブのメンバーで編成される「Pieces(ピーシーズ)」を31-14で下し、関東女子大会初勝利をあげた。

 「スカッと勝つ」、これがこの日のテーマだった。2週間前の開幕戦はミスが相次いで惜敗していたからだろう、ハンドリングなど基本プレーを徹底練習してきた。だが、試合後、古賀千尋監督は苦笑いを浮かべながら、「スカッとしません、全然」と言った。

 「14回ですよ、14回。前回は13回。ハンドリングエラーが多過ぎます。そこしか練習していなんじゃないかというぐらいやってきたんですけど、まあ、ミスが多くて。ほんと、フラストレーションがたまりますね」


 ◆ブレイクダウンは改善。SOMの八尋「がんばりました」

 

 日曜の11月23日、勤労感謝の日だった。横浜・青葉台の日体大健志台キャンパスのラグビー場。曇り空、黄色や深紅に周囲の木々が色づいている。午後2時キックオフ。スタンドには学生の保護者や友人たちの姿もあった。紺色と水色の縞模様の日体の小旗がバタバタ、揺れる。「ニッタイダイ、がんばれ~」

 日体大は、接戦を落とした初戦の経験を活かし、ブレイクダウンは改善されていた。ひたむきさとハードワークは相変わらずで、2人目の寄りがはやくなっていた。確かに相手チームのチーム力もあるが、初戦で12回も許したターンオーバーはこの試合、2回に減った。意識していたのだろう、とくにFWには結束力が強まっていた。

 前半3分、PKをタッチに蹴り出し、そのラインアウトでナンバー8の向來桜子主将が捕球、モールをぐいぐい押していく。最後は、ピンク色のヘッドキャップをかぶった1年生フッカー、浦山亜子がインゴールにボールごと飛び込んだ。難しい位置のゴールキックを、これまた1年生のFB杉本姫菜乃(ひなの)が蹴り込んで、7-0と先制した。



 そのあと、1トライを返されたが、前半19分、またもラインアウトからのモールを押し込んで、向來主将がサイドに持ち出してトライした。前半35分には、ゴール前のPKからFWが突進し、ラックの右をどんどんと突いて、左プロップの八尋瑛(あきら)がど真ん中にトライを加えた。



 八尋は、試合の「スターオブザマッチ(SOM)」に選ばれた。いつもニコニコの陽気なキャラ。「がんばりました」と、太陽のごとき笑顔で振り返った。

 「ボールを持っていくのが好きなんです。今日は(アタックの)基点をつくるのが目標だったんですけど、それはできたかなと思います。はい」

 よく顔をみれば、左目の下に赤い傷跡があった。聞けば、激しいコンタクト練習でできたものらしい。ところで、「スカッとしましたか?」。

 「試合全体ではスカッとできなかったけど、個人的にはスカッとできました。FWはボールをとれたし、ピック・アンド・ゴーでトライをとれたし。ホームでこのようなカタチで終われてうれしいです」

 


 ◆厳しいディフェンス、後半はトライを許さず

 

 前半終了間際にFB杉本がゴール前のピンチでキックチャージを食らって、トライを返された。ショックだったんだろう、泣き顔をみると、こちらもつらくなる。こんな日もある。まだ1年生、この悔しさを成長の糧にすればいい。

 ハーフタイム。前半を21-14で折り返した。

 日体大は後半、頭から4人を入れ替えた。とくに日本代表クラスのプロップの峰愛美、センター畑田桜子の4年生がゲームを締めていく。ディフェンスに厳しさが出てきた。後半は、相手にゴールラインを割らせなかった。

 攻めては、後半21分、頼りになる向來キャプテンがラックの左サイドに持ち出してトライ、後半34分には連続攻撃から、白色ヘッドキャップの八尋がまたもトライをもぎ取った。八尋さん、絶好調~!

 

 ◆チームMVPの西村「ミスなく、がんばりました」

 

 チームMVPの「ゴールドシール」に選ばれたのが、FWのプロップ八尋、フッカー浦山、そして3年ロックの西村咲都希(さつき)だった。愛称が「さっちゃん」。

 試合後、西村は八尋と並んでクールダウン。

 西村は「私も、がんばりました」と笑い、冗談口調でつづけた。

 「トライをとれなくても、お仕事はちゃんとしたと思います。自分はミスなしだし。はい、ミスなく、がんばりました」

 そういえば、スタンドで西村パパは一番前に出てきてスマホで娘たちの円陣の写真を撮っていた。その姿に心を動かされる。話を聞けば、「小さいころから娘のラグビーに楽しませてもらっています」とうれしそうに言った。

 「さっちゃんが、試合でがんばる姿がいいんです」

 娘の西村はがんばり屋なのだ。昨年はケガで秋の公式戦には出場できなかった。いまも怪我を抱えているようだが、試合でガッツあるプレーを見せている。「最後までがんばります」と健気に言うのだった。


 

 ◆36歳のPiecesロック・村上「モチベーションはラグビー仲間」

 

 ところで、相手のPiecesは、ダイバーシティーの象徴のようなチームである。数チームの合同チーム。この日のメンバー表をみれば、年齢は18歳から36歳までの選手が並んでいる。共通しているのは、ラグビーが大好きだということだろう。

 36歳の村上愛莉さん(Brave Louve=ブレイブルーヴ)は、ロックでからだを張り続けた。ボールを持てば突進し、ブレイクダウンでは献身的な動きで奮闘した。

 なぜ、この歳でラグビーを? 

 「モチベーションはラグビー仲間です。自分はうまくないですけど、仲間と一緒にラグビーをするのがとても楽しいんです。(からだで)痛いところがいっぱいなんです。でも、周りはいい子ばっかりで。みんな、年下ですけど」

 実は、村上さんは異色の経歴を持つ。高校、大学、実業団とバスケットボールに熱中していたが、26歳でラグビーの魅力を知り、ラグビー転向を決めた。横河武蔵野アルテミ・スターズに入団、2019年7月には日本代表サクラフィフティーンのオーストラリア代表戦に途中出場を果たし、キャップを獲得した。

 実は村上さんは「LGBTQ+」の理解促進をめざすNPO法人の理事も務め、日体大でも「ダイバーシティー&インクルーシブ」に関する講義の講師もしている。即ち、多様性を大事にしてもいるのだった。

 村上さんは、日体大を女子ラグビーの牽引車としてレスペクトしている。「(日体大の選手は)みんな、がんばって練習して、ちゃんとした基盤があるし、応用もできるんです。古賀さんが愛情を持って学生を指導しているのでしょう。試合をすると、とても勉強になります。自分としては、日体大は絶対的な存在です」

 ひと呼吸をおき、「恐縮ですが」と漏らし、日体大にエールを送ってくれた。

 「学生時代は有限だから、一生懸命にラグビーに打ち込む価値は絶対、あるんです。古賀さんの言っていることを追求するとか。めちゃくちゃきついと思うけれど、思い切り、ラグビーに打ち込んでほしい。楽しんでほしい」

 

 ◆古賀監督「課題は継続すること」、向來主将「意識を変えよう!」

 

 スカッとしなくとも、古賀監督はポジティブだった。

 「とりあえず、初勝利はできました。ボーナスポイントもとれました。課題は(プレーを)継続すること。また、がんばります」

 グラウンドの隅に全部員の円陣ができた。



 勝利で終えたからだろう、みんなの表情に安ど感が浮かぶ。でも向來キャプテンは、「勝っていかないと、(上位4チームの)全国大会には行けないよ」と厳しい口調で言った。

 「行きたいなら、自分たちの意識を変えないと。ずっと、このままなら、フラストレーションのたまったラグビーになるよ。できないことじゃない。できる人しかここにはいないと思っている」

 ひと呼吸おき、言葉に力をこめた。

 「やろう!」

 力強いみんなの返事が紅葉の木々に溶け込んでいく。チームは発展途上。学生チームだもの、伸びしろは無限大である。



                  (文:松瀬学、写真:善場教喜さん) 

 
 

 夢のような学生チームだなとつくづく思う。日本体育大学ラグビー部女子。チームビルディングの一環として、秋空の下、バーベキュー大会が開かれ、全部員で合唱も響かせた。大自然に咲く野の花のように、清らかでまっすぐな歌声で。



 10月23日、木曜の昼間。日体大の健志台キャンパスから自転車で約10分。上り坂をシャカリキにペダルを踏めば、「こどもの国」に到着する。1965年に開園した子どものあそび場。白鳥がゆるゆる流れる湖の奥にバーベキュー会場がある。

 そこに日体大ラグビー女子、30数人が集まった。古賀千尋監督がいろんなお肉を配り、部員たちがセロリなどの野菜を小さく切っていく。炭火でお肉を焼きながら、わいわいガヤガヤ、盛り上がる。あちらこちらで笑い声が響く。1年生も2年生も3年生も、そして4年生もごちゃごちゃになって話がはずむのだった。

 


 ◆森に響く歌声「涙の数だけ強くなれるよ~♪」

 

 ハイライトが、即席“ラグ女合唱団”の歌だった。

 白いTシャツを着こみ、バーベキュー会場から隣の小高い丘に移動した。まるで森のステージ。やらかい秋の陽射しに照らされて、一帯は優雅な雰囲気に包まれた。

 指揮者役が両手をあげる。

 「涙の数だけ強くなれるよ~♪

   アスファルトに咲く 花のように~♪」

 そう、岡本真夜の名曲『TOMORROW』だった。時にはからだを一緒に揺らし、時には右手をゆらゆら振りながら、歌声を流していく。グラウンドでの厳しい練習の時とは違い、やわらかいみんなの笑顔が印象に残る。

 「明日は来るよ どんな時も~♪

   明日は来るよ 君のためにも~♪」


 

 ◆古賀監督「私の予想をはるかに超える出来」

 

 「ブラボー! ブラボー!」。おっさん部長はつい、大声を張り上げた。古賀監督も「素晴らしい出来ですね」と言葉に実感をこめた。

 「2、3週間、練習が終わった後、みんなで歌の練習を一生懸命にしていました。それがどのように仕上がるか楽しみだったんですけど、私の予想をはるかに超える出来でした。最後に、少し間違ったところが、“らしく”てよかったですね」

 長野・菅平高原の夏合宿はほとんど1~3年生でおこなった。向來桜子キャプテンら4年生が日本代表遠征や、教育実習でかけていたからだった。もうじき、15人制ラグビーの公式戦がはじまる。古賀監督が言葉を足す。

 「4年生らがチームに合流するタイミングだったので、チームがひとつになれるようなことをやろうよとなったのです」

 それが、この合唱だった。これまでダンス大会をやったことはあったけれど、合唱団結成は初めてのことだった。3年生の元気印、西村咲都希さんの発案だった。

 この合唱の発表会もだが、練習における互いのやりとりがチームの絆を強くしていっただろう。ワンチームである。

 日体大OGの堤ほの花さん(株式会社ディックソリューションエンジニアリング)も、合唱を聞いて、拍手をおくった。こう、言った。

 「学生が自分たちで考えて、しっかりやってくれました。すごくいい雰囲気で終われたので、とてもいいチームビルディングになったと思います」

 

 ◆向來主将「すごく楽しかった」

 

 向來キャプテンはこうだ。

 「練習後の合唱練習でお互いにしゃべる機会が増えました。違う学年の部員ともたくさん交流する機会ができたので、すごくいい企画だったのかなと思います。私は(日本代表遠征で)4年間、菅平にいけなかったので、とてもいい合唱の練習時間でした。すごく楽しかったです」

 青春バンザイである。僕は心で叫んだのでした。

おいしいお肉とハートフルな合唱、ごちそうさまでした!

                    (記事&写真 松瀬学)

 
 

まっちゃん部長日記@太陽生命セブンズ・グランドファイナル札幌大会


 オールアウト(All Out)である。7人制女子ラグビーの太陽生命シリーズ最終戦、グラウンドファイナル札幌大会で、日本体育大学は総合5位と健闘した。がんばった選手たちの笑顔がはじける。北の大地に花咲くヒマワリのごとく。



 「オールアウトしきりました」。“ねえさん”こと、28歳のOG、堤ほの花(ディックソリューションエンジニアリング)の言葉には「やりきった」という充実感があふれていた。今年のチームスローガンが『All Out やるか、やるか』。ロッカールームの壁にも白い模造紙に墨字でそう、大きく書かれていた。

 「最後に勝つのは日体大!」との文字もある。初戦の準々決勝ではナナイロプリズム福岡に僅差で敗れたものの、5-8位決定戦にまわって、北海道バーバリアンズディアナに逆転勝ち、5位決定戦では東京山九フェニックスにもしぶとく逆転勝ちした。



 3試合とも先発したメンバーは4人。つまりは先発メンバー、リザーブの総力戦で戦ったことになる。日体大は太陽生命シリーズで、6位、8位、6位、そして年間最終順位を決める札幌大会では5位となった。トップ8のうち外国人選手を擁しないのは自衛隊体育学校PTSと学生チームの日体大だけである。学生らしく、チームでひたむきに、しぶとく戦ったことに価値がある。



 合言葉通り、最後の試合には勝った。古賀千尋監督も笑顔だった。

 「どんなに劣勢でもひっくり返すのが日体大という意味の言葉ではありますが、最後に勝って、気持ちよく終われました。本来持っている力を全部出せた。その上でナナイロさんには負けた感じです。ま、みんなでやれた。すごくよかったです」

 

 ◆室温20度のドームで開催。古賀監督「涼しいのはサイコーですね」

 

 日曜日の8月17日、札幌の大和ハウスプレミストドーム(旧札幌ドーム)。これまでは酷暑の中の試合がつづいたが、この日は室温20度に空調が設定された屋内での戦いとなった。ラグビーはこうでなくっちゃ。グランドレベルの送風口から冷たい風が吹く。



 古賀監督の述懐。

 「涼しいのはサイコーですね。チームは、ベストパフォーマンスだったと思います」

 最後の5位決定戦。3戦とも先発出場の高橋夏未、谷山三菜子がゲームをリードする。序盤、日体大がいいテンポで攻める。高橋夏未がタックルし、谷山がスティール(旧ジャッカル)を試み、相手反則をもらった。PKから高橋夏未が前に持ち出し、外の1年生のピンクヘッドキャップの浦山亜子(長崎・大村工高卒)につなぎ、右中間に先制トライを決めた。どうでもいいけれど、浦山さんはワタシの同郷となる。



 でも、前半終了間際にトライを返され、後半序盤にもニュージーランド出身のサバナ・ボッドマンにディフェンスを破られてトライを奪われた。ここでメンバー交代。入ったばかりの元気な持田音帆莉(ねおり)主将がタテを突き、これまた入ったばかりの紺色ヘッドキャップの齋藤紗葉(すずは=関東学院六浦高卒)が鋭利するどいランで切れ込んで同点トライを決めた。谷山がゴールを難なく蹴り込み、14-12とした。

 

 ◆1年生の大内田、勝負所でファインプレー「狙っていました」

 

 ここからが勝負どころだった。日体大の強みは「“ココどころ”を知っている」ことだろう。いわば集中力。後半の中盤。ハーフウェイラインあたりの接点で相手のボールをひきちぎる。こぼれたボールを、1年生の大内田葉月(福岡・修猷館高卒)がサッと拾って持ち出し、ピューと寄ってきた堤ほの花にパス、“ねえさん”が数十メートルを走り切った。トライ~~~。ゴールも決まって21-12と差を広げた。どうでもいいけれど、大内田さんはワタシの高校の後輩となる。



 地味だけれど、あれはファインプレーでした。試合後、そう言えば、大内田は「狙っていました」とキャハハハと笑った。天真爛漫の笑顔。

 「初戦でナナイロさんに悔しい思いをしたけれど、その次は勝って、最後にも勝って、とっても気持ちいいで~す」

 

 ◆持田主将「暑さに弱いメンバーが生き生きと」

 

 ノーサイド寸前にトライを返されたが、日体大は21-19で勝利した。途中から交代出場した髙橋夢来(ゆらら)、島本星凜(きらり)、橋本佳乃もからだを張った。

 持田主将は「勝利で締めくくれてよかったです」と言った。

 「今日は涼しかったです。寒いくらいで。いつも暑さに弱いメンバーが、生き生きとしていました。最後に勝ち切ることができて。とってもよかったです」

 終わりよければすべてよし、である。



 スタンドには遠路はるばる駆け付けた保護者の方々の姿もあった。日体大のタオル、ブルーと紺色の横縞の小旗を打ち鳴らしていた。は~い、みなさんで声を合わせて。

 「最後に勝つのは~、ニッタイダイ!」


 


 ◆元気な1年生トリオ。浦山「ミスを恐れずにチャレンジ」

 

 緊張から解放されたからだろう、試合後、1年生トリオは一緒になってはしゃいでいた。楽しそうで。いいなあ、若いって。

 先制トライでチームを勢いづけた浦山は、「トライとれてうれしかったです」と初々しい。大会プログラムを開けば、メンバー紹介のところにはこう、書いてある。

 <1年生らしくミスを恐れずチャレンジします!>



 齋藤はこうだ。空中戦にはめっぽう強い。

 「(空中戦は)得意です。4大会を通して、自分の通用するとこと、通用しないところがはっきりわかったので、これからもがんばって進化していきたいです」

 

 ◆ナナイロセブンズに敗北。古賀監督「決定力がなかった」

 

 あまり思い出したくないけれど、初戦のナナイロセブンズ福岡戦は詰めの甘さが出た格好だった。“際(きわ)”の厳しさが足りなかった。

 “たら・れば”は禁句ながら、前半終了間際に同点トライがとれていれば…。前後半とも最初に失ったトライはいずれもキックしたボールを反撃されたものだった。キックチェイスを厳しくしていれば…。

 終了間際にもトライを許し、0-19と大量リードを許した。でも、日体大は最後まであきらめない。電光掲示の数字は「9:10」。つないで攻めて、最後は橋本佳乃が意地のトライをマークした。5-19でノーサイド。このワントライが反撃のノロシとなった。

 古賀監督は、「決定力がなかったですね」と振り返った。

 「相当、ゲームプランは練っていたんですけれど、ナナイロさんとは細かな部分で差が出ました。詰めの甘さですね。チェイスのところとか、ハンドリングエラーとか。まあ、それも実力のうちです」

 

 ◆バーバリアンズには逆転勝利。“スピトレ”の成果、谷山「練習はウソをつかない」

 

 5-8位決定戦の初戦、北海道バーバリアンズディアナ戦も苦しい試合だった。

 先制トライを奪われたが、堤ほの花がトライを返し、前半終了間際には元気印の松田奈菜実がうまくつなぎ、高橋夏未がトライを加えた。後半、ディフェンスを破られ、2トライを追加され、14-19となった。だが後半5分30秒過ぎ。谷山が鋭いステップでタックルをかわすと、50メートルほどを駆け抜けてど真ん中に同点トライを挙げた。

 紺色ヘッドキャップからのぞく束ねた長髪を揺らして。ヘッドキャップの左横には出身校の佐賀工高のモットー『不撓不屈(ふとうふくつ)』の白い文字。自らゴールを蹴り込んで、21-19と逆転した。

 2年生にしてエース格の谷山、足がはやくなった。そう、見えた。そう言えば、「スピトレのお陰です」と言った。何ですか、スピトレって?

 「スピードトレーニングです。2月から、朝からみっちり、みんなでやってきたんです。そのお陰で、これまで走り切れなかったのが、ことしは走り切れるようになりました」

 授業がない金曜日の午前中、約2時間、ダッシュ練習を繰り返してきたそうだ。言葉に実感をこめる。

「ほんと、練習はウソをつかないと思いました」

 パッパッというステップのキレ、ひねりの動作は、子ども時代のゴルフのスイングのおかげだそうだ。



 古賀監督も、谷山の成長を認める。

 「昨年は入学直後から大慌てで駆け抜けた感じでしたけど、ことしはリーダーシップをとりながら、ゲームメイクをするのは自分だという自覚が芽生えてきたと思います。自分の役割がなにかがはっきりわかっているのでしょう」

 

 ◆ピンチ救った堤のタックル、水野のサポートプレー。堤「オール・オッケー」

 

 もうひとつ、北海道バーバリアンズ戦の勝因を探せば、ノーサイド寸前のゴール前ピンチの堤ほの花のタックルだろう。

 差は2点。猛反撃のバーバリアンズがボールを左オープンに回し、ゴールライン寸前まで攻め込んだ。ここで堤がボールごと猛タックル。足をかいて倒し切り、青色ヘッドキャップの水野小暖(こはる)がスティールにいった。相手がボールを離さず、反則をもぎとった。PK。大内田がこれを蹴り出してノーサイド!

 いやあ、ねえさんはしぶとい。勝ち味を熟知している。

 堤ほの花は「もう、絶対にボールにいかないといけないと思って」と声を弾ませた。

 「(相手は)重かったです。そこにコハルが来てくれて。意地でも“ゴールラインは割らせないぞ”って。最後、いい形で終われてよかったです」

 それにしても、トライも何本もとってくれました。そう言えば、涼しい顔で、「いやいや」と右手をひらひらさせた。

 「トライをとるのが私の役目なんで。しっかり相手を振り切れてよかったです」

 さすが、ねえさん。エライ!



 「最後にみんなの息が合ったというか、練習してきたことが発揮できたというか、成長できたのかなと思います。一番は、やっぱりリザーブのメンバーがしっかり戦えるようになったことでしょうか。チームとして、これまでとは違うセブンズのラグビーができたのかなと思います。それがオモシロかったです」

 充実感のにじむ、やさしい笑顔を浮かべる。

 「上にはいけなかったんですけど、自分たちの力は出し切ることができました。オール・オッケーです。オールアウトです」

 

 ◆古賀監督「成長を感じられた(セブンズ)シーズンでした」

 

 最後に古賀監督にまとめていただく。

 「成長を感じられたシーズンでした」と、セブンズ(7人制)シーズンを総括した。

 「自分たちの強みが何かわからないままシーズンに入っていたと思いますけれど、各自が自分たちの強みをもう一回見直すことによって、チームとして迷いがなくなりました。思い切って、みんな、伸び伸びやってくれたんで、それがすごくよかったです」

 これでセブンズ(7人制)シーズンは終わり。15人制シーズンに移っていく。でも、ラグビーそのものはまだまだ終わらない。進化はつづくのだった。

 

◆ありがとうございました

 

 余談をいえば、歓喜に沸くロッカールームから離れ、通路を歩いていたら、「松瀬センセ~イ」と持田主将に声をかけられた。ロッカー室から部員たちがどどっと出てくる。狭い通路に並んで、頭を下げてくれた。

 「ありがとうございま~す」

通路に声が響きわたった。おっさん、こういうのに弱いのです。つい涙腺がゆるんだ。お礼が言いたいのはこちらのほうです。

 がんばった選手たち、チームスタッフ、大会を支えた運営スタッフ、札幌まで来た保護者、日体大ファン、そしてYoutubeで応援してくれた方々。

 みなさん、ありがとうございました!


       

  (筆:松瀬学、写真・善場教喜さん<ドームと観客席は筆者撮影>)



 
 

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