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まっちゃん部長日記@日体大が『覚醒』、FWとバックス一体で8トライ

  • nittaidai
  • 2 時間前
  • 読了時間: 6分

 ちょっと早いけどメリークリスマス。日本体育大学にとってはハッピー・ウイークエンドだった。土曜6日には男子が関東大学対抗戦で連勝フィニッシュを決め、日曜7日には女子が関東大会で完勝した。まさに覚醒。眠気マナコのサンタクロースもびっくりだ。

 覚醒ですか、と聞けば、この日の冬の太陽のごとく、古賀千尋監督は満面の笑みを浮かべた。「はい。ようやく、ですね」と。

 「予定通りです。もともと、力があるのはわかっています。でも、なかなか力を発揮できずに、苦しかったんですけど、ずっと。フォワードとバックスのコミュニケーションがとれてきました」

 

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 ◆日体大がGODを55-0で撃破

 

 快晴下の12月7日、調布市の府中朝日フットボールパークだった。時折、近くの調布飛行場にセスナ機が飛んで来る。15人制の関東女子ラグビー大会。黒星発進した日体大だが、GODに55-0で完勝し、2勝目を挙げた。ちなみに、GODとはRKU(流経大)グレース、弘前サクラオーバルズ、北海道バーバリアンズ・ディアナの3つの合同チーム。実は、日体大は1年前、この会場で、主力のRKUグレースに敗れていた。だから、おっさん部長は少し心配していたのだが。

 杞憂だった。この試合のテーマが『覚醒』だった。キックオフ直後、我らのキャプテン、ナンバー8向來桜子がペナルティーキックから素早くアタックし、中央に先制トライした。

 結束したスクラムでぐいぐいと押し込み、コラプシング(故意に崩す行為)の反則を連続してもぎとった。FWが前に出れば、スタンドオフに入ったセブンズ日本代表の谷山三菜子のパス回しも冴える。前半12分。オープンに回して、15人制日本代表のウイング畑田桜子が左中間にトライした。


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 この日は、SHが名手の高橋夏未、SOは谷山が並び、FBには1年生の元気印、大内田葉月が入った。バックスラインがスピードに乗る。谷山のエリア取りのキックも距離が出たこともあって、終始、敵陣でのゲーム展開となった。

 FWだって、負けてはいない。ゴール前に迫れば、密集サイドをサンタのごとき赤色ヘッドキャップの15人制日本代表プロップの峰愛美らがガンガン、パワーで突いていく。前半20分にはロック西村咲都希が左中間にトライし、その5分後には谷山が鋭利するどいランでトライを重ねた。

 前半30分には、ラインアウトからのモールを押し込んで、またもナンバー8の向來がインゴールにボールを押さえた。ゴールも決まって31-0と大量リードした。

 

◆前半のハンドリングエラーはわずか4つ

 

 何といっても、FWとバックスの連携がとれていた。

 連携がとれると、自ずとハンドリングエラーも減っていく。

 古賀監督は「プレーの精度が高まりました」とうれしそうだった。「前半のハンドリングエラーは4で、後半の途中からちょっとミスが増えたんですけど、前回(11月23日のPieces戦=〇31-14)より半分以下になっていました。前回のハンドリングエラーは18で、うち10がバックスだったんです」

 

◆谷山のキックとセットプレーが安定

 

 確かに後半はハンドリングミスが出始めたが、SO谷山のキックとセットプレー(スクラム、ラインアウト)が安定していたので、危なげない試合運びだった。ラインアウトもマイボールは100%だった。向來主将はエライ!


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 後半6分、SO谷山からの飛ばしパスを受けたFB大内田が切れ味鋭い好ダッシュでポスト下に飛び込んだ。福岡・修猷館高校の後輩となる逸材のプレーに思わず、「ナイス・スピード」と小声で言ってしまった。

 後半36分は途中から交代出場のウイング島本星凛がトライ、ロスタイムにはセンター水野小暖が約50メートルを走り切った。スタンドでおっさんの隣に座った会計担当の副部長が、会計役の独走トライに「オ~、行った、行った~」と狂喜乱舞していた。

 

◆FWとバックスが本音をぶつけ合って一体感が生まれる

 

 チームに一体感が生まれたのには理由がある。

 実は、前回の試合の後、チームミーティングでFWとバックスそれぞれが本音をぶつけ合った。古賀監督が説明してくれた。

 「要は、FWとバックスのコミュニケーションですよ。この前の試合では、FWがバックスにボールを出さず、22メートルあたりからピック&ゴーでボールキャリーしていたんです。そんなこと、ここから先の強いチームには通用しないよねって。チームがひとつになるためには、ぶつかり合いを恐れず、ちゃんと言い合いをしなきゃいけませんから」

 一言でいえば、チームに互いの信頼感が強くなったのだろう。ディフェンスだって、チームのためにみんな、からだを張った。とくにフッカー浦山亜子の猛タックル、ウイング島本のしつこい片手タックルには見ていて心が震えた。

 「覚醒」しましたか? と聞けば、向來主将は、「はい」と即答した。

 「楽しかったです。どういうラグビーをするのかでちょっと悩んでいたんですけど、それが無くなりました。FWとバックスのリンクのところとかが課題だったんですけど、そこをずっと練習してきました。この流れのまま、自分たちが好きなラグビーというか、自分たちがやりたいラグビーを続けていきたい」

 しばし、間をおいて、「そして」と言葉に力を込めた。

 「残り全部勝てば、全国大会に行けると思うので、さらに加速していきたいと思います」

 

◆メディアも注目。谷山「信頼してゲームメイクを任せてくれた」

 

 そういえば、某テレビ局が特番制作のため、日体大女子を追いかけている。

 女子ラグビーの人気拡大につながれば、と日体大としても全面協力を約束した。試合後、選手たちをテレビカメラが追う。エースの谷山は、インタビューも受けていた。取材を受ければ、責任感が増し、人間的にも成長する。

 ナイス・キック!と言えば、谷山は「コンバージョンはまあまあだったんですけど」と漏らし、こう続けた。

 「普通(フィールド)のキックはもうちょっと改善できると思います。距離は出ていたので、よかったです。(自分の出来は)ちょっと合流の時期が遅れたんですけど、みんなが信頼して(ゲームメイクを)任せてくれたんで、その責任は果たせたのかなと思います」

 

◆最優秀選手賞の峰愛美「もらえると思っていなかったので、とてもうれしい」

 

 この日の『スター・オブ・ザ・マッチ』(最優秀選手)に選ばれたのは、4年生の右プロップ、陽気な峰愛美だった。表彰式で整列していた時、名前が呼ばれると、日体大フィフティーンから歓声と拍手が沸き起こった。


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 スター何とか、おめでとう!どうですか、とストレートに聞けば、峰は「うれしいです」と満面に笑みを浮かべた。縁の下の力持ち、地味なポジションだ。でも、一生懸命にスクラムを組んで、ブレイクダウンでからだを当て、タックルに行った。

 「自分が(スター・オブ・ザ・マッチを)もらえると思っていなかったので、とてもうれしいです。今日は学生ならではの力を出せたと思います。これから社会人の方々と当たりますので、これまでやってきたことを学生らしく、ずっとやりつづけたいと思います」

 学生らしく、とは?

 「やっぱり丁寧さだったり、アグレッシブさだったり、です。私たちは、サイズは小さいですけど、アグレッシブなアタックやディフェンスで対抗していきたいと思います」


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 完勝ながらも、もちろん課題はある。

 古賀監督は「疲れてきたときのゲームマネジメントですね。前半、すごくいいペースで行っていたんですけど、後半のゲームコントロールが甘くなりました」

 これから、強い相手が続いていく。チーム間に『信頼』は芽生えた。あとはプレーの精度を高め、学生らしく、ひたむきにチャレンジあるのみである。


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                       (文・写真:松瀬学)

 
 

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