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『オールアウトの日体大、北の大地に笑顔はじけるー健闘の総合5位』

  • nittaidai
  • 14 時間前
  • 読了時間: 9分

まっちゃん部長日記@太陽生命セブンズ・グランドファイナル札幌大会


 オールアウト(All Out)である。7人制女子ラグビーの太陽生命シリーズ最終戦、グラウンドファイナル札幌大会で、日本体育大学は総合5位と健闘した。がんばった選手たちの笑顔がはじける。北の大地に花咲くヒマワリのごとく。


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 「オールアウトしきりました」。“ねえさん”こと、28歳のOG、堤ほの花(ディックソリューションエンジニアリング)の言葉には「やりきった」という充実感があふれていた。今年のチームスローガンが『All Out やるか、やるか』。ロッカールームの壁にも白い模造紙に墨字でそう、大きく書かれていた。

 「最後に勝つのは日体大!」との文字もある。初戦の準々決勝ではナナイロプリズム福岡に僅差で敗れたものの、5-8位決定戦にまわって、北海道バーバリアンズディアナに逆転勝ち、5位決定戦では東京山九フェニックスにもしぶとく逆転勝ちした。


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 3試合とも先発したメンバーは4人。つまりは先発メンバー、リザーブの総力戦で戦ったことになる。日体大は太陽生命シリーズで、6位、8位、6位、そして年間最終順位を決める札幌大会では5位となった。トップ8のうち外国人選手を擁しないのは自衛隊体育学校PTSと学生チームの日体大だけである。学生らしく、チームでひたむきに、しぶとく戦ったことに価値がある。


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 合言葉通り、最後の試合には勝った。古賀千尋監督も笑顔だった。

 「どんなに劣勢でもひっくり返すのが日体大という意味の言葉ではありますが、最後に勝って、気持ちよく終われました。本来持っている力を全部出せた。その上でナナイロさんには負けた感じです。ま、みんなでやれた。すごくよかったです」

 

 ◆室温20度のドームで開催。古賀監督「涼しいのはサイコーですね」

 

 日曜日の8月17日、札幌の大和ハウスプレミストドーム(旧札幌ドーム)。これまでは酷暑の中の試合がつづいたが、この日は室温20度に空調が設定された屋内での戦いとなった。ラグビーはこうでなくっちゃ。グランドレベルの送風口から冷たい風が吹く。


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 古賀監督の述懐。

 「涼しいのはサイコーですね。チームは、ベストパフォーマンスだったと思います」

 最後の5位決定戦。3戦とも先発出場の高橋夏未、谷山三菜子がゲームをリードする。序盤、日体大がいいテンポで攻める。高橋夏未がタックルし、谷山がスティール(旧ジャッカル)を試み、相手反則をもらった。PKから高橋夏未が前に持ち出し、外の1年生のピンクヘッドキャップの浦山亜子(長崎・大村工高卒)につなぎ、右中間に先制トライを決めた。どうでもいいけれど、浦山さんはワタシの同郷となる。


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 でも、前半終了間際にトライを返され、後半序盤にもニュージーランド出身のサバナ・ボッドマンにディフェンスを破られてトライを奪われた。ここでメンバー交代。入ったばかりの元気な持田音帆莉(ねおり)主将がタテを突き、これまた入ったばかりの紺色ヘッドキャップの齋藤紗葉(すずは=関東学院六浦高卒)が鋭利するどいランで切れ込んで同点トライを決めた。谷山がゴールを難なく蹴り込み、14-12とした。

 

 ◆1年生の大内田、勝負所でファインプレー「狙っていました」

 

 ここからが勝負どころだった。日体大の強みは「“ココどころ”を知っている」ことだろう。いわば集中力。後半の中盤。ハーフウェイラインあたりの接点で相手のボールをひきちぎる。こぼれたボールを、1年生の大内田葉月(福岡・修猷館高卒)がサッと拾って持ち出し、ピューと寄ってきた堤ほの花にパス、“ねえさん”が数十メートルを走り切った。トライ~~~。ゴールも決まって21-12と差を広げた。どうでもいいけれど、大内田さんはワタシの高校の後輩となる。


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 地味だけれど、あれはファインプレーでした。試合後、そう言えば、大内田は「狙っていました」とキャハハハと笑った。天真爛漫の笑顔。

 「初戦でナナイロさんに悔しい思いをしたけれど、その次は勝って、最後にも勝って、とっても気持ちいいで~す」

 

 ◆持田主将「暑さに弱いメンバーが生き生きと」

 

 ノーサイド寸前にトライを返されたが、日体大は21-19で勝利した。途中から交代出場した髙橋夢来(ゆらら)、島本星凜(きらり)、橋本佳乃もからだを張った。

 持田主将は「勝利で締めくくれてよかったです」と言った。

 「今日は涼しかったです。寒いくらいで。いつも暑さに弱いメンバーが、生き生きとしていました。最後に勝ち切ることができて。とってもよかったです」

 終わりよければすべてよし、である。


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 スタンドには遠路はるばる駆け付けた保護者の方々の姿もあった。日体大のタオル、ブルーと紺色の横縞の小旗を打ち鳴らしていた。は~い、みなさんで声を合わせて。

 「最後に勝つのは~、ニッタイダイ!」


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 ◆元気な1年生トリオ。浦山「ミスを恐れずにチャレンジ」

 

 緊張から解放されたからだろう、試合後、1年生トリオは一緒になってはしゃいでいた。楽しそうで。いいなあ、若いって。

 先制トライでチームを勢いづけた浦山は、「トライとれてうれしかったです」と初々しい。大会プログラムを開けば、メンバー紹介のところにはこう、書いてある。

 <1年生らしくミスを恐れずチャレンジします!>


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 齋藤はこうだ。空中戦にはめっぽう強い。

 「(空中戦は)得意です。4大会を通して、自分の通用するとこと、通用しないところがはっきりわかったので、これからもがんばって進化していきたいです」

 

 ◆ナナイロセブンズに敗北。古賀監督「決定力がなかった」

 

 あまり思い出したくないけれど、初戦のナナイロセブンズ福岡戦は詰めの甘さが出た格好だった。“際(きわ)”の厳しさが足りなかった。

 “たら・れば”は禁句ながら、前半終了間際に同点トライがとれていれば…。前後半とも最初に失ったトライはいずれもキックしたボールを反撃されたものだった。キックチェイスを厳しくしていれば…。

 終了間際にもトライを許し、0-19と大量リードを許した。でも、日体大は最後まであきらめない。電光掲示の数字は「9:10」。つないで攻めて、最後は橋本佳乃が意地のトライをマークした。5-19でノーサイド。このワントライが反撃のノロシとなった。

 古賀監督は、「決定力がなかったですね」と振り返った。

 「相当、ゲームプランは練っていたんですけれど、ナナイロさんとは細かな部分で差が出ました。詰めの甘さですね。チェイスのところとか、ハンドリングエラーとか。まあ、それも実力のうちです」

 

 ◆バーバリアンズには逆転勝利。“スピトレ”の成果、谷山「練習はウソをつかない」

 

 5-8位決定戦の初戦、北海道バーバリアンズディアナ戦も苦しい試合だった。

 先制トライを奪われたが、堤ほの花がトライを返し、前半終了間際には元気印の松田奈菜実がうまくつなぎ、高橋夏未がトライを加えた。後半、ディフェンスを破られ、2トライを追加され、14-19となった。だが後半5分30秒過ぎ。谷山が鋭いステップでタックルをかわすと、50メートルほどを駆け抜けてど真ん中に同点トライを挙げた。

 紺色ヘッドキャップからのぞく束ねた長髪を揺らして。ヘッドキャップの左横には出身校の佐賀工高のモットー『不撓不屈(ふとうふくつ)』の白い文字。自らゴールを蹴り込んで、21-19と逆転した。

 2年生にしてエース格の谷山、足がはやくなった。そう、見えた。そう言えば、「スピトレのお陰です」と言った。何ですか、スピトレって?

 「スピードトレーニングです。2月から、朝からみっちり、みんなでやってきたんです。そのお陰で、これまで走り切れなかったのが、ことしは走り切れるようになりました」

 授業がない金曜日の午前中、約2時間、ダッシュ練習を繰り返してきたそうだ。言葉に実感をこめる。

「ほんと、練習はウソをつかないと思いました」

 パッパッというステップのキレ、ひねりの動作は、子ども時代のゴルフのスイングのおかげだそうだ。


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 古賀監督も、谷山の成長を認める。

 「昨年は入学直後から大慌てで駆け抜けた感じでしたけど、ことしはリーダーシップをとりながら、ゲームメイクをするのは自分だという自覚が芽生えてきたと思います。自分の役割がなにかがはっきりわかっているのでしょう」

 

 ◆ピンチ救った堤のタックル、水野のサポートプレー。堤「オール・オッケー」

 

 もうひとつ、北海道バーバリアンズ戦の勝因を探せば、ノーサイド寸前のゴール前ピンチの堤ほの花のタックルだろう。

 差は2点。猛反撃のバーバリアンズがボールを左オープンに回し、ゴールライン寸前まで攻め込んだ。ここで堤がボールごと猛タックル。足をかいて倒し切り、青色ヘッドキャップの水野小暖(こはる)がスティールにいった。相手がボールを離さず、反則をもぎとった。PK。大内田がこれを蹴り出してノーサイド!

 いやあ、ねえさんはしぶとい。勝ち味を熟知している。

 堤ほの花は「もう、絶対にボールにいかないといけないと思って」と声を弾ませた。

 「(相手は)重かったです。そこにコハルが来てくれて。意地でも“ゴールラインは割らせないぞ”って。最後、いい形で終われてよかったです」

 それにしても、トライも何本もとってくれました。そう言えば、涼しい顔で、「いやいや」と右手をひらひらさせた。

 「トライをとるのが私の役目なんで。しっかり相手を振り切れてよかったです」

 さすが、ねえさん。エライ!


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 「最後にみんなの息が合ったというか、練習してきたことが発揮できたというか、成長できたのかなと思います。一番は、やっぱりリザーブのメンバーがしっかり戦えるようになったことでしょうか。チームとして、これまでとは違うセブンズのラグビーができたのかなと思います。それがオモシロかったです」

 充実感のにじむ、やさしい笑顔を浮かべる。

 「上にはいけなかったんですけど、自分たちの力は出し切ることができました。オール・オッケーです。オールアウトです」

 

 ◆古賀監督「成長を感じられた(セブンズ)シーズンでした」

 

 最後に古賀監督にまとめていただく。

 「成長を感じられたシーズンでした」と、セブンズ(7人制)シーズンを総括した。

 「自分たちの強みが何かわからないままシーズンに入っていたと思いますけれど、各自が自分たちの強みをもう一回見直すことによって、チームとして迷いがなくなりました。思い切って、みんな、伸び伸びやってくれたんで、それがすごくよかったです」

 これでセブンズ(7人制)シーズンは終わり。15人制シーズンに移っていく。でも、ラグビーそのものはまだまだ終わらない。進化はつづくのだった。

 

◆ありがとうございました

 

 余談をいえば、歓喜に沸くロッカールームから離れ、通路を歩いていたら、「松瀬センセ~イ」と持田主将に声をかけられた。ロッカー室から部員たちがどどっと出てくる。狭い通路に並んで、頭を下げてくれた。

 「ありがとうございま~す」

通路に声が響きわたった。おっさん、こういうのに弱いのです。つい涙腺がゆるんだ。お礼が言いたいのはこちらのほうです。

 がんばった選手たち、チームスタッフ、大会を支えた運営スタッフ、札幌まで来た保護者、日体大ファン、そしてYoutubeで応援してくれた方々。

 みなさん、ありがとうございました!


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  (筆:松瀬学、写真・善場教喜さん<ドームと観客席は筆者撮影>)



 
 

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